アルゼンチン映画。NHKスペイン語会話で紹介していたやつ。スペイン語圏の映画も、とても日常的でなかなか深いものが多い。
もう少しでまたあのアルモドバル監督の映画もやって来るから楽しみだ。
「ボンボン」は、上映中くすくすと会場から笑いが漏れるような、ちょっとかわいくて笑っちゃう感じの映画。
でも、すごく印象深いわけではなく、とってもおもしろい、とか感動する、というわけでもない映画。
「差出人のない手紙」のような、人間に対しての空恐ろしくなるような視点の深さはなく、もっと気軽に観ていられる。
主人公の冴えないオヤジのお人よし加減が、世の中ととてもずれているから人生要領よく運ばないのに、本人は、そんなことに気づいているのかいないのか。
でも、そんなオヤジにでも誰にでも、何かのきっかけで
人生・・・というほどのだいそれたものじゃなくて、
生活が、変わる可能性はある。
判で押したような・・・いや、判で押したような毎日ならまだマシ、というような、日々、生きにくい環境で肩身狭く、でも誇りをもって、―身近な人にはほとんど理解されない、自分にとっての誇りを持ってコツコツ生きているオヤジの生活が、ある日突然、とっても楽しいものに変わってしまう。
生きていたら、誰でも何度かは経験したことがないだろうか?
もし、経験したことがないとしたら、きっとこれから経験するはず。
今までと、何ひとつ変わらない毎日なのに、ちょっとした何かのお陰で、生活がとっても楽しく輝いてしまうことって・・・
生きていれば、いつか楽しいこともあるさ、と、「ボンボン」は言っているようだったけど、
や~、ごめん、そのこと、私、もう知ってた。
そういう意味では、あんまり収穫のない映画だったね。