忘れもしない、あれは私が、イタリア語のuno,due,treも知らずにローマをひとり彷徨っていた1995年、秋のこと。
よく利用していたパン屋に、お気に入りのサンドがあった。
フォッカッチャのような質感の四角いパンに、ローストビーフと葉っぱものが挟まっていた。
この葉っぱもの、とてもおいしかったのだが、私には未知の物で、よく買って食べながら、いったいこれは何の葉っぱだろう??? と考えていた。
しかし知らないものは考えたところでわかるはずがない。
どうしてもこの葉っぱものの正体を突き止めたかった私は、当時気に入ってほぼ毎日通った宝物館で、顔見知りになった学芸員(?)のオジサンにきいてみることにした(当時英語でなんとか会話していた)。
ある日、そのサンドから、できるだけ原型をとどめていると思われる葉っぱを一枚取り出してキレイに伸ばし、紙に挟んで持っていった。
オジサンは、「多分、
ルッコラだと思う。」と言っていたのだと思う。当時、知らない名詞は私の記憶に残らなかった。
が、後にルッコラを認識してから、「ああ、あのときのあの葉っぱはこれだった。」とわかった。
その頃は
日本にはない野菜だった。でも、今はもうここいらのスーパーでも売っている野菜になった。イタリアで食べるあのパンチは日本のものにはないけれど、それでも、愛すべきルッコラ。