仕事のスケジュールの合間をぬって、日程をとりあえず決めた。
大切なのは曜日ふり。
街中おやすみでひっそりした日曜日と、その余韻が残る月曜日の午前中を有意義に過ごせる日程を組まないともったいない。
今年はスペインにも行くので、懐かしの旅行会社、
R舎の
Nさんに電話をかける。
「あらー、お久しぶり。元気? ほんっとに久しぶりねー。」
甲高い早口の声が受話器の向こうで流れる。
簡単な挨拶の後、本題に入る。
「えっとー、
バルセロナとイタリアの
ボローニャに行きたいんですが、
日程がですね、6月の29日に発って、7月の8日に、日本に着く10日間です。」
「8日着ね。」
「はい。で・・・駄目だったらもう1週間ずれてもいいです。」
「前に?後に?」
「後に。」
「同じ曜日で後にずらしてもいいのね、はい。」
「で、バルセロナに3泊で、4日に移動してボローニャへ。
ホテルはボローニャは以前ボローニャ行ったときとってもらった・・・えっと・・・
Cavourだったかな。できればそこで。」
「ふーん、そこ、よかったの?」
「はい、よかったんです。」
「バルセロナは?」
「バルセロナはですね・・・ここってとこは特にないんですけど・・・んー・・・地下鉄の便のいい・・・」
「どの辺りがいい? カテドラルの近く?」
「んー、あ、そうですね、カテドラルの辺りでテキトウに。」
「じゃあ、よさそうなところいくつか見てみるわね。」
「それで今、ユーロがすごい高いじゃないですかー。旅費ってだいたいどのくらいになりますかねぇ~」
「んー、見積もりこれから出してみるけどー・・・」
「宿は以前は1泊5000円くらいでと思ってましたけど、もう今それじゃ無理ですよねえ?」
「だめよだめよ、今定食が15ユーロって、いくらになってると思う?」
「2000円・・・よりもっとしますよね。」
「全然そんなもんじゃないわよ、 もう本当に高くてびっくりするわよ。」
「1泊1万くらいします?泊まるだけで8万か・・・げー・・・」
「でも、できるだけ安いところ探してみるわよ。」
「じゃあまた連絡するわね。連絡先変わってない?」
「ええ、同じです。」
「携帯なんか持ってる?」
「ああ、伝えといた方がいいですか?・・・・・です。」
「わかりました。いくつか調べてまた連絡するわね。」
「はい、よろしくお願いします。」
電話を切る。
スペインで、定食が15ユーロっだって?
1ユーロ158円で計算して、2370円。
850ptsや950ptsでボリュームたっぷりの昼食を食べていたのは夢と化した。
1500ptsも出せばすごい贅沢で、そんな金額ほとんど出したことがない。
2003年に久しぶりにバルセロナに行ったときも、高くなってて驚いたけど、あれから4年。
ユーロもしっかり板につき、スペインもアフリカではなくヨーロッパの仲間入りを果たしたのかな。
意味もわからず経済ニュースはよく見るのだけど、画面の端っこのユーロの値段が下がることはしばらくなさそうだ。
ボローニャとその近辺の街の下調べはほとんどしていないのだけど、もうそんなこともいいことにする。
気ままな一人旅だから、とにかく行って、そこにあるものを楽しんで来よう、というのが今年の旅のコンセプト。
パルマへ行ったらパルミジャーノを、モデナに行ったらバルサミコを、ファエンツァに行ったら陶器を、そうそう、買物も、大切だね。今回はスーツケースだな。